FAQと問い合わせ導線の接続でCS負荷を下げる

問い合わせフォームの手前にFAQ検索を置き、解決できる人と人の対応が必要な人を振り分ける導線設計

問い合わせ削減コンタクトフォーム導線設計CS効率化UX
読了時間: 10分

はじめに

FAQをどれだけ丁寧に作っても、ユーザーが読まずに問い合わせてしまえば、カスタマーサポート(以下CS)の負担は減りません。「FAQは整備したのに問い合わせ件数が変わらない」という状態は、FAQの中身よりも、ユーザーがFAQにたどり着く前にフォームへ着いてしまう導線に原因があります。

この記事では、アパレル・ギア系のECサイトで、問い合わせフォームの手前にFAQ検索を置いて自己解決を促した導線の設計を解説します。届く問い合わせのうち、FAQを読めば解決するものと、人が対応しないと解決しないものを、フォームの手前で振り分ける考え方です。ページを作り直すような大きな改修ではなく、置く順番と見せ方を変えるだけの調整なので、いま運用しているサイトにも当てはめやすいと思います。

問い合わせフォームの手前にFAQ検索を置く

フォームに書き始める前に検索してもらう

多くのサイトでは、問い合わせページを開くといきなり入力欄が並んでいます。ユーザーは疑問が浮かんだらそのまま書き込み、送信します。ここに一段、FAQ検索を挟みました。問い合わせページに入って最初に目に入るのは「調べたいことを入力してください」という検索窓で、文字を打つそばから候補のFAQが並びます。届く質問の多くはすでにFAQに書いてある内容なので、入力欄に書き始める前に答えが見つかれば、そこで解決します。

何を入力すればいいか分かる状態にしておく

検索窓を置いただけでは、意外と使われません。空の入力欄を前にすると、何と打てばいいか迷う人が多いためです。そこで、検索窓の下によく見られている質問を数件そのまま並べ、入力欄には「送料」「返品の期限」といった入力例を薄く表示しています。1文字打てば候補が絞り込まれる動きも、検索が生きていることを伝えます。並んでいる質問の中に答えがあれば、そもそも入力すら要りません。

解決しなかった人はそのままフォームへ通す

大事なのは、FAQ検索を通行止めにしないことです。検索しても答えが見つからなかった人は、当然そのまま問い合わせたい。ここで探し直しを強いると、ユーザーの不満はむしろ増えます。だから検索結果の下には「解決しない場合はこちら」という導線を常に置き、ワンクリックでフォームへ進めるようにしました。FAQで解決できる人はそこで完結し、人の対応が必要な人だけがフォームへ進む。この振り分けができると、CSに届く問い合わせの中身が変わります。

問い合わせページでの振り分け
問い合わせページを開く

ユーザーが疑問を持ってページにたどり着く

まずFAQ検索

入力欄の手前で「調べたいこと」を打ち込んでもらう

解決した

その場で自己解決し、問い合わせは発生しない

解決しなかった

「解決しない場合はこちら」からフォームへ進む

同じページに来た人を、検索の結果によって二つの行き先に分けている、という流れです。

フォームの中でも関連するFAQを見せる

選んだカテゴリに応じて候補を出す

検索を挟んでも、フォームまで進む人はいます。そこでもう一押しとして、問い合わせフォームの画面にも関連するFAQへの導線を置きました。ユーザーが問い合わせの種類を選んだ時点で、その種類に紐づくFAQを数件、入力欄の脇に表示します。「配送について」を選んだ人には配送関連のFAQ、「返品について」を選んだ人には返品関連のFAQ。書いている途中で「これで解決しそう」と気づいてもらえれば、送信する前に解決します。

入力の手間を減らす提案として見せる

問い合わせフォームは、ユーザーにとって手間のかかる場所です。状況を文章で説明し、注文番号を調べ、送信してから返信を待つ。ここで数時間から翌営業日まで待たされるくらいなら、その場で答えが見つかったほうが早い、という人がほとんどです。その手間を省ける可能性があるなら、先に示しておくほうが親切です。関連FAQを見せるのは送信を妨げるためではなく、「もっと早く解決できる道があります」という提案として設計しています。ユーザーは待たずに解決でき、CSは対応件数を減らせる。どちらにとっても得のある形です。

導線設計の前後
BEFORE
フォームだけを置いた状態

疑問があればそのまま送信。FAQを読めば解決する質問まで、人が一件ずつ返信することになる

AFTER
手前の検索+フォーム内の関連FAQ

二段階で自己解決を促し、人が対応するのは本当に個別の判断が必要な問い合わせだけになる

同じ問い合わせページでも、FAQを挟むかどうかでCSに届く件数と中身が変わる、という比較です。

届いた問い合わせをFAQに戻す

同じ質問が続いたらFAQに追加する

導線を整えても、FAQに載っていない質問は必ず届きます。フォームまで進んだ問い合わせは、FAQに足りていない項目がそのまま並んだ一覧だと考えられます。同じ質問が何度も届くなら、それをFAQに追加すればいい。この追加を繰り返すほどFAQが実際の疑問に近づき、手前の検索で解決する割合が上がっていきます。追加作業は現場が管理画面から数分で行えるので、この循環を止めずに回せます。

検索されたのに答えが無かった言葉を拾う

追加する質問を決めるとき、届いた問い合わせと同じくらい参考になるのが、検索されたのに結果が出なかった言葉です。ユーザーが自分の言葉で打ち込んで空振りしたということは、その表現でFAQに書かれていない、あるいは項目そのものが無いということ。既存の回答に同じ意味の言い回しを一つ足すだけで拾えるようになる場合も多く、ここは費用対効果の高い手直しになります。

FAQが検索エンジンからの入り口にもなる

問い合わせの手前で見せるFAQは、検索エンジンからの入り口としても働きます。ユーザーが実際に困っている言葉で質問文を書いておけば、同じ疑問を持つ人が検索結果から直接FAQページにたどり着きます。CSの負担を下げるために整えた導線が、そのまま集客用のコンテンツとしても機能する。FAQを外部サービスに預けず自サイトに持つ利点は、この二重の効果にあります。

まとめ

問い合わせフォームの手前にFAQ検索を置き、フォームの中でも関連FAQを見せる。この二段構えで、自分で解決できる人はその場で完結し、人の対応が必要な人だけがフォームへ進みます。さらに、届いた問い合わせをFAQへ追加していけば、手前で解決する割合は運用するほど上がっていきます。

この導線を成り立たせているのは、カテゴリをまたいで探せる検索と、現場がすぐ編集できる管理画面です。データの持ち方はJSON+KVによるFAQデータ管理と検索インデックス、編集と同期の運用は管理画面編集とGit経由の同期運用、全体像はFAQシステムの内製で解説しています。