回転率×保管コストのABCランク分類

よく売れて場所を取らない商品、売れずに場所を取る商品 — ランク分類の計算設計

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はじめに

在庫に体積の軸が入ると、次にやりたくなるのは「品番をランク分けする」ことではないでしょうか。
全品番を一律に眺めていても、どこから手を付けるべきかは見えてきません。

そこで、回転率と保管コストという2つの軸を組み合わせ、品番をA/B/C/Dのランクに分類します。狙いは、「よく売れて場所を取らない優等生」と「売れずに場所を占有する在庫」をきれいに分離すること。この記事では、そのランク分類の計算設計を具体的に見ていきます。

ランク分類の考え方

2つの軸で在庫を評価する

従来のABC分析は、売上や在庫金額という単一の軸で品番を並べるのが一般的です。しかし倉庫の最適化では、それだけでは不十分でした。私が使うのは**回転率(どれだけ動くか)保管コスト(どれだけ空間を食うか)**の2軸です。動きが速く空間効率も良ければ理想的、動きが遅く空間ばかり食うなら問題児——この2次元でとらえることで、在庫の性格が立体的に見えてきます。

「優等生」と「問題児」を分ける

ランク分類の本質は、限られた注意力をどこに向けるかを決めることです。よく売れて場所を取らない品番(優等生)は、放っておいても倉庫に貢献しています。逆に、売れずに大きな体積を占める品番(問題児)は、対策の最優先候補です。ランクは、この「褒めるべき在庫」と「手を打つべき在庫」を機械的に振り分けるための物差しになります。

保管効率コストをどう計算するか

需要 × 体積で理論最小コストを出す

保管コストの核になるのが、需要(出荷実績)と体積の掛け合わせです。ある品番を回すのに理論上どれだけの空間 × 時間が必要かを見積もり、それを「理論最小の保管コスト」とします。よく出る商品なら空間はすぐ回転するので理論コストは低く、動かない商品なら同じ空間を長く占有するので理論コストは高くなります。これが効率評価の基準線になります。

配賦倍率で「実際の重さ」を測る

理論最小コストに対して、実際の在庫がどれだけ空間を余計に食っているかを表すのが配賦倍率です。理論の何倍の空間を占めているかを見ることで、「本来これくらいで回るはずなのに、過剰に場所を取っている」品番を特定できます。倍率が高いほど、倉庫にかける負担が大きい問題児だと判断できるわけです。

ランク算出の計算フロー
需要と体積を取得

出荷実績と算出済みの体積を品番ごとに用意する

理論最小コスト

需要 × 体積から、理論上の保管コストを計算

配賦倍率

実際の占有量が理論の何倍かを求める

スコア化とランク付け

回転率と保管コストを合成し、A/B/C/Dの境界で分類

しきい値の決め方

A/B/C/Dの境界をどこで引くかは、分析の使い勝手を左右します。全品番を絶対値で切ると、季節性や商材の偏りで分布が歪みます。そこで、上位何パーセントをA、下位何パーセントをDといった相対的なしきい値を基本にしつつ、明らかな問題児は絶対条件でもDに落とす、といったハイブリッドにしています。運用しながら境界を微調整できる余地を残しておくのが実践的でした。

ロケーション別に集計する

什器・ブロック・ロケーションで見る

品番ごとのランクが出たら、それを什器・ブロック・ロケーション単位で集計します。すると「この什器はDランクの問題児だらけ」「この一等地にCランクが居座っている」といった、置き場所と在庫性格のミスマッチが見えてきます。個々の品番だけでなく、空間のかたまりとして俯瞰することで、棚割り変更の当たりを付けやすくなります。

次のアクションへつなぐ

ランク分類とロケーション集計は、それ自体がゴールではありません。優等生を取り出しやすい場所へ、問題児を処分や発注調整へ——具体的な行動につなげて初めて価値が出ます。その落とし込み方は、関連記事「分析結果を棚割り・処分判断につなげる」で詳しく扱います。

まとめ

回転率と保管コストの2軸でA/B/C/Dに分類することで、「よく売れて場所を取らない優等生」と「売れずに場所を占有する問題児」を機械的に分離できます。計算の核は、需要 × 体積による理論最小コストと、実際の占有度を測る配賦倍率でした。

ランクが出たら、次はそれを行動に変える番です。「分析結果を棚割り・処分判断につなげる」へ進みましょう。体積算出の詳細は「在庫分析に『体積』の軸を入れる理由」を、全体像はハブ記事をご覧ください。