民泊の公式サイト直予約を実現する予約プラットフォーム構築

OTA任せにしない。一棟貸しの宿のための、検索から決済まで完結する直販サイトの全体像

民泊直予約予約サイト一棟貸しNext.js
読了時間: 9分

はじめに

民泊や貸別荘を始めるとき、多くの方はAirbnbなどの予約サイト(OTA)に登録して終わり、にしてしまいます。もちろんOTAは集客の強い味方です。ただ、手数料は売上の1〜2割に及び、お客様との接点もOTAのメッセージ機能に縛られてしまいます。

この記事では、瀬戸内海エリアの一棟貸しヴィラのために構築した公式サイト直予約のプラットフォームの全体像を紹介します。単なる「きれいな紹介サイト」ではなく、空室検索から決済、宿泊後のサポートまでが公式サイトの中で完結する仕組みです。

紹介サイトではなく「予約が完結する場所」を作る

直予約サイトに必要な機能を洗い出す

公式サイトで予約を完結させるには、見た目のデザインよりも先に、裏側の仕組みをそろえる必要があります。整理すると、大きく5つの構成要素になりました。

直販予約プラットフォームの全体構成
公式サイト(Next.js)

施設紹介・空室検索・予約フォーム・ブログ・周辺案内

在庫・料金の照会 / 予約の登録
予約管理システム(Beds24)

在庫・料金・予約の正本。OTAとも接続

決済(Stripe)

カード登録と後日自動課金

予約確定後
ゲスト専用ポータル

入室方法・ハウスガイド・AIアシスタント

メール通知(Resend)

予約確認・決済完了・運営向けアラート

ポイントは、公式サイト自身は在庫を持たないことです。在庫と料金の「正本」は予約管理システム側に置き、サイトは常にそこへ聞きに行く。この役割分担が、OTAとの併売でも矛盾が起きない土台になっています。

OTAと共存する前提で設計する

直予約サイトを作るからといって、OTAをやめるわけではありません。同じ部屋をOTAでも自社サイトでも売る以上、怖いのはダブルブッキングです。

そこで、OTAと自社サイトの両方が接続する予約管理システム(サイトコントローラー)のBeds24を中心に据えました。OTAで予約が入れば自社サイトの空室にも即反映され、自社サイトの予約もBeds24を通じてOTA側の在庫から差し引かれます。詳しくは「予約管理システム(Beds24)と自社サイトの同期設計」で解説しています。

宿泊業ならではの決済を設計する

ECサイトと違い、宿泊予約は「今日買って今日届く」ものではありません。1年近く先の予約も受け付けますし、キャンセルポリシーとの整合も必要です。

この案件では「予約時にはカードを登録するだけで課金せず、キャンセル料が発生し始めるチェックイン14日前に自動課金する」という設計にしました。予約のハードルを下げつつ、無断キャンセルのリスクは抑えられる、宿泊業に合った落とし所です。詳細は「宿泊予約のStripe決済設計」のシリーズで掘り下げています。

予約の前後まで含めて「体験」を設計する

予約前 — 迷わせない検索とページ構成

トップページを開いた瞬間に日程を選べる予約カードを置き、モバイルでは画面下部に固定の予約ボタンを配置。施設紹介・設備・周辺案内・FAQといったページも、最終的にはすべて予約フローへ合流するよう導線を組みました。

日本語・英語・繁体字・韓国語の4言語に対応し、海外からのゲストもそのまま予約できます。ページ構成の考え方は「予約に最短で辿り着くサイト構成とページ設計」で解説しています。

予約後 — ゲスト専用ポータルとAIアシスタント

無人チェックインの宿では、予約後のコミュニケーションこそが体験の質を決めます。予約確認メールに記載した専用URLを開くと、宿泊者だけのポータルページが現れ、入室方法・Wi-Fi・ハウスガイド・セルフキャンセルまで完結します。

さらにポータルには、家電の使い方や周辺情報を4言語で答えるAIアシスタントを組み込みました。ここは「宿泊ゲスト向けAIアシスタントの全体像」以下のシリーズで詳しく紹介しています。

運営側 — 自社で回せる管理画面

ブログやお知らせの更新、予約と決済の状況確認、ゲストポータルの発行管理までを行える管理画面も内製しました。外部のCMSサービスに月額を払わずに、運営者自身がコンテンツを育てられる体制です。

非エンジニアでもここまで作れる

AIコーディングという選択肢

この規模のシステムは、以前なら開発会社に数百万円で発注する内容だと思います。今回はClaude CodeなどのAIコーディングツールを使い、非エンジニアである私自身が設計と実装を進めました。

判断の記録が品質を支える

開発中は「なぜオーソリではなくカード登録にしたのか」「なぜ在庫を自社で持たないのか」といった意思決定を、すべて記録として残しながら進めました。後から仕様に迷ったとき、AIに文脈を引き継ぐとき、この記録が効いてきます。

まとめ

一棟貸しの宿の直予約プラットフォームについて、全体像を紹介しました。

  1. 在庫の正本は予約管理システムに — 自社サイトは在庫を持たず、OTAと共存する
  2. 宿泊業に合った決済 — 予約時はカード登録のみ、キャンセル料発生日に自動課金
  3. 予約後の体験まで作る — ゲスト専用ポータルとAIアシスタントで無人運営を支える

それぞれの構成要素は、以下の記事で詳しく解説しています。