B2Bアカウント向け割引のニーズ
通常のオンラインショップでは、お客様全員が同じ価格で商品を購入します。しかしB2B(法人・ディーラー向け)のお客様には、以下のような特別な対応が求められることがあります。
- 取引量に応じた割引価格
- ブランドや商品カテゴリごとの異なる割引率
- クレジットカード払いではなく請求書払い(掛け売り)
今回は、Shopify + ヘッドレス構成のECサイトで、これらすべてを自動化した仕組みを紹介します。
実現したいこと
お客様の体験
- B2Bアカウントでログイン
- 商品一覧・詳細ページで会員価格が自動表示される
- カートに入れると割引が自動適用される
- 決済時にクーポンコードの入力は不要(裏側で自動適用)
- 希望すれば請求書払いも選択可能
運用側のメリット
- 新しいB2Bアカウントの追加が簡単
- 割引率の変更もShopify管理画面だけで完結
- コードの変更なしに柔軟な運用が可能
全体の仕組み
システムの全体像を図で見てみましょう。
①顧客タグ付け(standard-35等)・②顧客セグメント作成・③対象コレクション作成・④クーポン作成
⑤ログイン時タグ取得・⑥会員価格表示・⑦クーポン自動適用・⑧請求書払い対応
設計のポイント:タグ名=クーポン名
この仕組みの最大のポイントは、顧客タグの名前とクーポンの名前を一致させることです。
タグの命名ルール
タグ名に割引率を埋め込みます。
| タグ名 | 意味 |
|---|---|
| standard-35 | 標準カテゴリが35%OFF |
| premium-25 | プレミアムカテゴリが25%OFF |
| special-40 | 特別カテゴリが40%OFF |
クーポンの命名ルール
タグ名と完全に同じ名前でクーポンを作成します。
| クーポン名 | 割引率 | 対象 |
|---|---|---|
| standard-35 | 35% | 標準カテゴリ商品 |
| premium-25 | 25% | プレミアムカテゴリ商品 |
| special-40 | 40% | 特別カテゴリ商品 |
なぜこの設計にしたか
この設計により:
- コード変更不要: 新しいクーポンを追加しても、フロントエンドのコードは変更不要
- 運用が簡単: Shopify管理画面だけで新しいB2B顧客を追加できる
- 割引率の変更が容易: タグとクーポンの両方を更新するだけ
ヘッドレスならではの課題
なぜ独自実装が必要だったか
通常のShopifyテーマであれば、B2B向けのアプリを導入することで簡単に会員価格を実現できます。しかしヘッドレス構成では、フロントエンドがShopify外(Next.jsなど)にあるため、アプリの機能をそのまま使うことができません。
Shopify B2B機能は?
Shopifyには公式のB2B機能がありますが、**Shopify Plus(月額約$2,000〜)**が必要です。中小規模のECサイトにとっては、この費用は大きな負担になります。
今回の設計は、通常のShopifyプランでもB2B機能を実現するための工夫です。
この仕組みで実現できること
1. 自動割引
お客様がログインした瞬間から、会員価格が自動的に反映されます。クーポンコードの入力は一切不要です。
2. 複数ブランド・カテゴリへの対応
カートに異なるカテゴリの商品が混在していても、それぞれに適切な割引が自動適用されます。
例:
- 標準カテゴリ商品 → 35%OFF
- プレミアムカテゴリ商品 → 25%OFF
- 両方がカートに入っていても、それぞれ正しく割引
3. 請求書払い(掛け売り)
クレジットカード払いではなく、請求書払いで注文を受け付けることができます。ドラフトオーダーを使って、後から請求書を発行するフローに対応しています。
4. 柔軟な優先順位管理
同じ商品に複数の割引ルールが適用可能な場合、優先順位を設定して制御できます。
次のステップ
この仕組みを実現するには、Shopify側とヘッドレス側の両方で設定・実装が必要です。
次の記事では、まずShopify管理画面での設定方法を詳しく解説します。