Cloudinaryによる画像配信最適化 — 選ばれる理由と他サービスとの比較

画像の変換と配信を専門サービスに預けて、サーバー負荷とコストを抑える方法

CloudinaryCDN画像最適化コスト削減負荷分散
読了時間: 10分

はじめに

前の記事では、ヘッドレスECにすると画像の変換と配信が自分のサーバーの仕事になり、負荷と費用が増えやすいことを説明しました。この記事はその解決編です。

画像の仕事を丸ごと預けられる専門サービス「Cloudinary(クラウディナリー)」について、何ができるのか、Shopify CDNやVercelの画像最適化と何が違うのか、どんなサイトなら導入する価値があるのかを順に見ていきます。読み終わる頃には、自分のサイトに合うかどうかを判断できる状態を目指します。

Cloudinaryとは何か

画像の変換・最適化・配信を専門に行うサービス

Cloudinaryは、画像や動画の変換・最適化・配信を専門とするクラウドサービスです。画像を預けておくと、リサイズや軽量化といった処理をCloudinary側で行ったうえで、世界各地のCDN(ユーザーに近い場所から配信するための拠点ネットワーク)から届けてくれます。

ポイントは、この一連の処理に自分のサーバーが一切関わらないこと。ユーザーが増えても、セールでアクセスが集中しても、画像まわりの負荷はすべてCloudinaryが受け止めてくれます。

画像変換の担当がどう変わるか
BEFORE
自分のサーバーで処理

ユーザー → 自分のサーバーで画像変換 → 返す。アクセスが増えるほど負荷と費用が増える

AFTER
Cloudinary経由

ユーザー → Cloudinary CDNが変換済み画像を返す。自分のサーバーは画像に関与しない

図を一言でまとめると、「画像係を自分のサーバーからCloudinaryに交代させる」構成です。

URLに指示を書き足すだけで変換できる

Cloudinaryの使い勝手を支えているのが、URLでの変換指定です。画像のURLに w_400(幅400pxに)や f_auto(ブラウザに合う形式を自動選択)といった短い指示を書き足すだけで、変換済みの画像が返ってきます。

表のとおり、「どう変換してほしいか」をURLの一部として伝える仕組みです。あらかじめ何種類もの画像を用意しておく必要がなく、必要になった時点でCloudinaryが作って配信し、次回以降は作り置きを返してくれます。

フォーマット選びをブラウザごとに自動化できる

画像の形式は、ブラウザによって対応状況が異なります。f_auto を指定しておくと、Cloudinaryがアクセスしてきたブラウザを判別し、対応していれば軽いWebPやAVIF、古いブラウザにはJPEGと、最適な形式を自動で出し分けてくれます。形式ごとの画像を人手で用意する作業が丸ごと不要になる、地味ながら効果の大きい機能です。

費用はどう変わるのか

プラン制だから金額が読みやすい

Vercelの画像最適化は変換回数に応じた従量課金で、アクセスが増えた月ほど請求額が膨らみ、事前に金額を読みにくいのが難点でした。対してCloudinaryはプラン制で、無料プランは月25クレジット(約25GBの配信、または約25,000回の変換に相当)、有料プランは月89ドルからと、上限の目安が最初から分かります。

商品500点・月間10万PV規模のサイトであれば、月225クレジットのプランで一般的なECサイトの配信量をまかなえる計算でした。同じ規模をVercelの超過課金でまかなうと月数万円以上になり得ることを考えると、「固定額で読める」こと自体が大きな安心材料になります。

判断の軸は「変換回数が読めるかどうか」

費用面での判断基準はシンプルで、毎月の画像変換・配信量が予測しにくいサイトほどCloudinaryのプラン制が効きます。商品の入れ替わりが激しい、セールでアクセスが急増する、といったサイトはまさにこの条件に当てはまります。

Shopify CDN・Vercelとの違い

Shopify CDNとの比較 — 変換機能の幅が違う

Shopify CDNも画像配信自体は高速で、基本的なリサイズはできます。違いが出るのは変換機能の幅です。

表を一言でまとめると、「配るだけならShopify CDNでも足りるが、画像を賢く加工しながら配りたいならCloudinary」という関係です。

Vercelの画像最適化との比較 — 負荷と費用の構造が違う

Vercelの画像最適化は手軽な反面、変換処理がホスティング側で走るため、負荷と従量課金の問題がついて回ります。

こちらも一言でまとめると、「同じ画像最適化でも、仕事を自分の家の中でやるか、外の専門店に出すか」の違いです。

導入判断の目安と注意点

効果が大きいのはこんなサイト

商品画像が数百点以上ある、画像の更新頻度が高い、ホスティング費用の増加が気になっている、海外への配信がある、顔認識クロップのような高度な変換を使いたい——こうした条件に当てはまるほど、導入効果は大きくなります。運営中のモーターサイクル用品ECも、商品数と画像点数の多さが決め手でした。

急がなくてよいのはこんなサイト

商品数が数十点程度でアクセスも穏やか、Shopify CDNの標準配信で表示速度に不満がない、という場合は、急いで導入する必要はありません。サービスを1つ足せば、その分の管理と学習の手間は確実に増えます。課題が数字として見えてから導入しても遅くない、というのが正直なところです。

導入前に知っておきたい2つの注意点

1つめは画像の同期です。ShopifyとCloudinaryの両方に画像が存在することになるため、商品登録時に画像を自動で流し込む仕組みが必要になります(作り方は次の記事で解説します)。2つめは依存先が増えること。Cloudinaryに障害が起きれば画像は表示されなくなります。稼働率は非常に高いサービスなので実用上の心配は小さいものの、「外部に預ける」構成である以上、この前提は理解しておくと安心です。

まとめ

Cloudinaryは、ヘッドレスECの画像配信で生じる負荷と費用の問題を、「画像の仕事を専門サービスに預ける」ことで解決するサービスです。URLに指示を書き足すだけの手軽な変換、プラン制で読みやすい費用、そしてサーバー負荷ゼロ。この3点が、Shopify CDNやVercelの画像最適化との一番の違いでした。

次の記事では、Shopifyの商品画像をCloudinaryへ流し、Next.jsで表示するまでの実際の構築手順を解説します。